安全性の高いチャイルドシートの選び方
チャイルドシートはいざというときに効果を発揮する大切なお子様を守る補助具。
インテリア用自動車イスというわけではありませんので、できれば少しでも安全性のより高いモデルを選択したいところです。
機種選定に際し、購入者が最も重要視している事項は、1.安全性 2.使いやすさ 3.価格 と言われています。
ユーザーがチャイルドシートに一番求めているのは安全性。安全性を第一に、そして使いやすく、しかもコストパフォーマンスに優れたモデルが理想となります。
チャイルドシートメーカーの機種ごとのページを見るとどれも安全性を前面に出しているものが多く、何を基準に判別するのかは一般の方には困難と言えます。
そこで、より安全性の高いチャイルドシートを選定するための一助となるべく、私なりの視点をお話いたします。
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チャイルドシートの安全性はどこで見極めるの!?
安全基準について
2016年2月現在、日本で販売されているチャイルドシートはヨーロッパで採用されている安全基準 「ECE/R44」 をクリアしているモデルのみ。この基準を満たしていないチャイルドシートは2012年7月1日より日本では販売できないため、現行日本市場で新品で販売されているどのモデルも一定の安全は保たれていると考えて問題ありません。
そのため、それ以前に販売されたモデルは使用には法的問題はありませんが、安全性は原則として現行モデルに比べると劣るということをご認識ください。
チャイルドシートはいつの時代も高額商品であるがゆえ、お役目を終えたお下がり品がご友人などから回ってくるケースが多々ありますが、最新基準の安全性は確保できていないケースもありますのでご注意を。
機種ごとの安全性を数値化することは困難
チャイルドシートのセールスページには
1、安全性 2、赤ちゃんの快適性 3、操作性
の3つが必ず明記されています。
快適性と操作性についてはどのメーカー、モデルともに独自の個性があり、好みが分かれるところでしょう。
しかしながら肝心の安全性についてはどれも同じように記述していると感じているのは私だけではないと思います。
ではどこを見て高安全性と判断すればよいのでしょうか。
ソースのしっかりした 「安全性の高いチャイルドシートランキング」 のようなものがあれば一目瞭然ですが、実際には個体ごとに分かりやすく数値化するのは難しく、ベビー用品に携わるプロからしても確実に良い商品であると断定するのは困難です。
とはいえ、それではこのページ(安全性の高いチャイルドシートの選び方)が成立しませんので、以下に具体的な選び方の方法を記述していきます。
価格の安い高いは安全に直結しない
チャイルドシートの価格帯は約1万円~8万円ぐらいまで。これは新生児期から利用可能ないわゆるチャイルドシート(ジュニアシートではない)の価格です。
チャイルドシートは価格が高くなるにつれ、安全性が高まると思われているようですが、決してそういうわけではありません。
高価格帯モデルのほうが、安全性に配慮した作りこみが各所に見られ、安全性が高い傾向にあるのは間違いありませんが、価格に比例して安全性が高まるわけではありません。
また、 重厚感たっぷり=安全性が高い 軽量・華奢に見える=安全性が低い
これらも間違いです。
あなたにもできる高安全性チャイルドシートの選定方法 その1
確実に、簡単に固定できること ← これ重要です!
安全性におけるチャイルドシートでの最大の問題点は個体の安全クオリティ云々よりもユーザーが正しく利用していないところにあります。
ロードサービスで有名なJAFが行ったチャイルドシート使用状況全国調査(2015)の一項目、(2)チャイルドシート取付け状況調査結果
車内のチャイルドシートが正しく設置されているか?
内を見るとしっかりと取付けている方は45.5%しかおらず、残りの54.5%が何かしらの設置ミスがあることがわかりました。
お子様の安全確保のために設置しているチャイルドシート利用者の10人のうち約6人がチャイルドシートとしての機能を満たさず、取付不完全の状態で利用しているという驚くべき結果となりました。
その一番の問題点が設置不十分なこと。
ユーザーご自身が説明書どおりしっかりと固定できればどのチャイルドシートでも一定の安全性は確保できますが、設置ミスのまま利用していると安全確保以前に予期せぬトラブルを発生させる原因にもなります。
ここで私が申し述べたいことは、「チャイルドシートは正しく設置してください」はもちろんですが、設置しやすいチャイルドシートをご自身で選ぶことをお勧めしたいのです。
チャイルドシートは通常モデルではシートベルトで固定するのが一般的です。ベルト固定式といっても取付方法は機種によって異なります。中には作業工程が多く、手順が複雑なモデルも少なからずあるのです。全般的に万人が確実に固定できるとは言い切れないモデルもあることをご承知ください。
そこで、あなたにあった固定方法を実際に体験してみるのも一つの手です。
ベビー用品量販店のほとんどで店内にある自動車のイスを利用して設置方法を親切に教えてくれますので、お目当てのモデルを実際に手にとって作業してみてはいかがでしょうか。
女性でも可能で、作業工程が少なく、確実に設置できるモデルが理想です。
ご自身で正しく設置できるモデルこそ、あなたにとっての安全性の高いチャイルドシート選びの核といえるでしょう。
管理人がお勧めする簡単・確実に設置できるシートベルト固定式チャイルドシート
タカタ04NEO SF
タカタ04NEOは約10年前より安全性の高いチャイルドシートのイメージが浸透している知名度の高い名品です。
その理由はチャイルドシートアセスメントでの高評価のため。(アセスメントについてはページ末で詳しく解説しているのでここでは割愛します。)
ここでご紹介している04NEO SFは大ヒットだった04NEOの最新後継機種です。
現在のチャイルドシートは座面回転式がトレンドですが、04NEOは非回転式ながら人気を継続しているのはやはり確固たる高安全性のためと言えるでしょう。
高安全性をのトップを走る04NEOの機能の中で特に注目すべきは誰でも完全固定が可能なプリローダーシステムの存在。サイドにあるハンドルを巻き上げるだけで力のない女性でも簡単に、しかも強力に確実設置が可能。
自動車安全装置のプロであるタカタ製品は派手さはありませんが質実剛健的なイメージの本格派チャイルドシートとして違いの分かるユーザーから絶大な支持を受けています。
エールベベ クルットNT2シリーズ
エールベベ クルットNTシリーズはシートベルト固定式タイプでは評価の高い1台としてネット上で見かける機会も多いことでしょう。
回転式を採用し、誰でも簡単操作が可能な面はもちろん、赤ちゃんの快適性を考えたサブシート類はとてもよく考えられています。
肝心のシートベルト固定方法ですが、初めての女性でも1分ほどあれば装着が可能。座面下部にある大きな穴にシートベルトを通し、反対側から出たシートベルト金具を装着するだけでほぼ完了。
ベルトの緩み調整も引っ張るだけで確認できますのでとても簡単。
以下、動画をご覧いただければ1分で完了する簡単さと確実性を実感できると思います。
動画でご紹介しているモデルはクルットシリーズでは特に人気の プレミアムモデル 。
それ以外にも豪華な外観が特徴に最上級で最新モデル プラウド もあります。
どちらも他社チャイルドシートと比較しても最上級クラスに位置しながらリーズナブルな価格帯も魅力です。
アイソフィックスは安全性が最も高いチャイルドシートの装着法
前途ではシートベルト固定タイプのチャイルドシートについて解説してきました。
チャイルドシートはがっちりと固定できてこそ効果を発揮します。
チャイルドシートは取付が難解なモデルが存在することは否定しません。それゆえに取付不備のまま利用し、いざというときに十分な効果が発揮できないケースも多々あります。
そこでおすすめするのがisofix(アイソフィックス)モデル。誰にでも確実に、しかも簡単に装着できる画期的な仕組みの装着方法として着実にシェアを伸ばしてきています。
アイソィックスタイプの代表的機種
コンビ クルムーヴ ISOFIX
アップリカ クルリラ
エールベベ クルット4i
あなたにもできる高安全性チャイルドシートの選定方法 その2
チャイルドシートアセスメントはひとつの判断材料になる
チャイルドシートアセスメントをご存じでしょうか。
一般の方にはチャイルドシートの機種ごとの安全性を計る手段が無い中、公的機関が安全評価試験を行い、その結果を公表している信頼性の高い評価基結果です。
しかも結果は数値化され、さらにわかりやすい総合評価まで表記されています。
公的機関が検査・発表しているデータだけに信頼性は高く、メーカー側もこのアセスメントを意識しながら製品の開発をしていると思われます。
国土交通省と自動車事故対策機構は、自動車アセスメントの一環として、平成13年度から市販のチャイルドシートについて、前面衝突試験と使用性評価試験による評価を行い、その結果をチャイルドシートの安全性能として公表しています。
チャイルドシートアセスメントの目的は、信頼できる安全性能評価を公表して、より安全な製品を選択しやすい環境を整えるとともに、製作者によるより安全な製品の開発を促すことによって、安全なチャイルドシートの普及を促進しようとするものです。
チャイルドシートのご利用の前に、ぜひ「チャイルドシートアセスメント」をご覧ください。
チャイルドシートアセスメントとは:独立行政法人 自動車事故対策機構
チャイルドシートアセスメントの試験内容
試験内容は2つ。
使用性評価試験
チャイルドシートは取り付けが難解な機種もあり、不十分な設置をしたまま利用されているケースも少なくありません。
ユーザーが座席への設置の際、簡単確実に取り付けられるように配慮されているかなどを検証する試験。
以下のような表記により、結果を見ることができます。
前面衝突試験
定められた方法により前面衝突試験を行い、その結果を一般の方にもわかりやすい形でネット上で公表しています。
モデルごとにこのように結果が出ます。
チャイルドシートのセールスページに誇らしげに大きく出ている 優・優 とはこのことで、前面衝突試験にて、乳児(背面固定時)・幼児(対面固定時)で高い質の結果が得られたということになります。
チャイルドシートアセスメントの見方
では実際にチャイルドシートアセスメントの試験機種を検索してみましょう。
チャイルドシートアセスメント検索ページから条件をレ点で指定。「検索する」ボタンで完了です。
このアセスメントはすべてのモデルが試験されているわけではなさそうで、一部のモデルしか掲載されておりません。
チャイルドシートアセスメントで高評価を得ている現行機種
現行チャイルドシートの中でアセスメントで高評価を得ているモデルをピックアップしてみました。
優・優 の評価を得ているモデルは非常に少ないのでアセスメントの結果を重視して購入される方には機種の絞り込みはとても簡単。
以下の掲載のモデルから選んでみてはいかがでしょうか。
takata04-neo SF
takata04-neo SF | チャイルドシートアセスメント試験結果
タカタは自動車関連の安全装置で世界的に有名なグローバルブランド。
エアバッグでは世を賑わしましたが、チャイルドシートは完全に別物。現在でもチャイルドシートではトップクラスの品質と人気を誇るブランドとして多くの方々に利用されています。
04NEOといえば、チャイルドシートアセスメントで 優・優 の高評価を得ている機種として長年にわたり、ベストセラー商品として君臨し続けております。
04NEOシリーズの最新機種がこの04NEO SF。先代の04NEOの基本部分は踏襲しつつ、さらなる使いやすさと安全性を追求した究極のチャイルドシートといっても過言ではありません。
04NEOはオーソドックスなシートベルト固定式のタイプなので、ほとんどの車に装着が可能。シートベルト固定式は確実な取付が困難なモデルが多い中、タカタ独自のダイヤル巻き上げ機構を装備し、誰が設置しても緩むことのない完全な装着が可能なのも人気の理由。
固定式でシートベルト装着タイプは現在のチャイルドシート事情から見ると少し地味なように感じますが、質実剛健・完全機能重視と考えると納得がいきます。
takata04-i fix
takata04-i fix | チャイルドシートアセスメント試験結果
チャイルドシート安全性能に長けたタカタ製品にあって、ラインアップのトップにあるのがこの04i fixです。
前途でご紹介した04NEOと構造は酷似しながら、isofix対応にしたイメージのモデル。
アイソフィックス仕様のため誰にでも取付が容易にでき、しかも数秒で完了する簡単・確実な取付はとても便利です。
「isofixモデルはすべて安全でしょ?」
isofixには先進イメージが定着しているせいなのかこのように思っている方が多いのですが、実際にはそうでもないのです。
isofixモデルは全般的に高評価を得ている傾向にありますが、アセスメントの結果としてすべてが 優・優 の評価を下されているわけではありません。
04i fixは04neo同様、優・優 の評価を当然のように受けています。
構造はいたってシンプル。非回転式ながら操作に不便さを感じることは一切ありません。
自動車メーカー各社も純正アクセサリーとして扱う製品だけに安全性と信頼性は高いといえるでしょう。
コンビ ネルーム ISOFIX
コンビ ネルームisofix | チャイルドシートアセスメント試験結果
ネルームは座面回転式で新生児期から利用可能なチャイルドシートでは特に人気の高いモデル。
2016年7月に新型後継モデル「クルムーヴ」へとモデルチェンジしましたが基本構造は一緒。
美しいデザインときめ細かな操作性を有する信頼性の高いコンビ製品のトップモデルとあって注目が集まるのは当然ともいえます。
ネルームシリーズは大きく分けて2つ。ひとつはシートベルト固定タイプのNF600、NF550、NF500。もうひとつがアイソフィクス固定タイプのISOFIX NF800、ISOFIX NF700、ISOFIX NF600。
固定方式が異なるだけで内容は一緒の2モデルですが、チャイルドシートアセスメントでの結果は意外にも異なります。ベルト固定式は 普・良 の評価に対し、アイソフィックスタイプでは 優・優。
この結果を見るといかにisofixが優れているかということがわかります。
ご自身の愛車がアイソフィックスに対応しているようでしたらisofixモデルをチョイスしたいところです。
ネルームの新型後継機種「クルムーヴ」のisofixモデルも同等の評価を得ております。
ネルームの後継機種 ⇒ コンビ クルムーヴスマート ISOFIX JG-650
アップリカ フラディア
アップリカ フラディア | チャイルドシートアセスメント試験結果
フラディアはアップリカのラインアップ中、シートベルト固定タイプでは最高峰のモデル。
フラットベッド式になる唯一のチャイルドシートとして長年、高評価を得ております。
フラット構造は赤ちゃんの首や胸に負担がかからない自然な寝姿勢を維持できること、赤ちゃんが普段の環境と全く異なる自動車空間を意識せず乗れるためリラックスした状態での乗車が可能となることのメリットがあります。
気になるアセスメントの結果ですが、他機種に比べて優の評価が少なく、もどかしい感じを受けますが、良 の評価すら受けていないモデルも多数ありますので決して心配することではありません。
乳児(ベッド型)の評価 良 はむしろ好結果だったと評価できます。
チャイルドシートは安全確保の最善策として、新生児期には進行方向に背中を向ける形で、幼児期には進行方向に向かって設置するのが基本線です。しかしながらフラディアの場合、前途2方法にプラスしてベッド式での利用が可能となっております。普通に考えれば異質の形態のため、安全性を危惧してしまいがちですが、アセスメントの結果は意外にも 良 。かなりの高評価に私自身も安心して利用できる、お勧めできると実感しました。
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